国語科の緒方です。

以前、ブログに書いた記事と同じ内容で申し訳ありませんが、北海道弁の紹介をさせてください。

 

実は、私の妻は北海道の釧路出身です。今では、私もなんとか北海道弁に慣れましたが、最初のころはとまどうことの連続でした。なにせ、北海道の人たちは方言だとは認識していない言葉が多く、つまり自分たちはほぼ標準語で話していると信じているだけに、私が意味を尋ねると初めて方言だとわかって驚くこともしばしばあるのです。

 

【ごみをなげる】「そのごみ、なげておいて。」「ごみなげ行って来た。」

●なげる=捨てる

【いたましい】「えっ、それ、もう使わないの。いたましいべさ。」

●いたましい=もったいない

 

つまり、表題の「なげたらいたましい」は「捨てたらもったいない」という意味です。さすがに、「いたましい」は方言だと認識しているようですが、「なげる」が方言だという認識は少ないようです。

 

これに、「したけど」「なまら」「~でないかい」を加えると、北海道弁の連続になりますので、地元の人の言葉に近くなります。

(用例)「したけど、なげたら なまら いたましいんでないかい。」

(意味)「だけど、 捨てたら 非常に もったいないのではないか。」

 

この「ごみを投げる」の他にも「手袋をはく」=「手袋を手にはめる」とか「ふとんを着る」=「ふとんをかける」とか「ああ、こわい」=「ああ、つかれた」など、いろいろな地方の方言が北海道弁に見られます。日本各地から集まった北海道の開拓民たちは自分の出身地の方言を持ち込んで使っていたそうですが、自分たちの集落以外では通じない言葉はだんだん使われなくなり消えていきました。しかし、今でも一部の方言が残っています。

 

まだまだ、聞いた瞬間に驚きを禁じ得ない謎の言葉が北海道弁がいっぱいありますので、その一部を紹介いたします。

 

【いずい】「めっぱができて、いずい。」「セーターがちくちくしていずい。」

●いずい=違和感がある・しっくりこない・むずむずしておさまりが悪い

★ちなみに「めっぱ」は「ものもらい」のことです。

【あずましくない】「他人の家で寝るのって、あずましくないんだわ。」

●あずましくない=居心地が悪い・塩梅が悪い

【うるかす】「茶碗あとで洗うからうるかしといて。」

●うるかす=水につけて浮かす・ふやかす

【おだつ】「ちょっと褒めると、すぐおだつもんなあ。」

●おだつ=ふざける・さわぐ

 

他にも

【はんかくさい】間抜けだ。阿呆だ。いじましい。

【みったくない】美しくない。みっともない。

【いいふりこき】いいかっこしい。

【まかす】こぼす。

【おがる】大きくなる。成長する。

【書かさる】書ける。

【やむ】痛む。

【たごまる】糸がからんでごちゃごちゃになる。

【なして】なぜ。どうして。

【ばんきり】常に。いつも。最初から最後まで。

【よしかかる】よりかかる。

【ゆるくない】つらい。きつい。くるしい。

【ばんぺいする】見張る。見張り番をする。●「番兵する」という屯田兵時代の名残

【めっこめし】温度が低すぎて炊くのに失敗し、芯が残るご飯。

【ほっちゃれ】産卵を終え、死ぬ直前の鮭。役に立たず捨てられるだけ意味に発展。

接続詞も

「したから」だから *順接(理由)

「したら」そうしたら *順接(条件)

「したっけ」そうしたら *順接(条件)

「したけど」でも・だけど *逆接

 

興味が湧いたら、身近な北海道の人に聞いてみましょう。でも、同じ北海道といっても地方性もあればジェネレーションギャップもありますので、北海道の人でも聞いたことのない言葉やあまり使わないという言葉もあるかもしれません。

 

 

この記事を書いた人

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緒方克彦
担当科目:英語・国語
担当校:伊勢原校・成瀬校

理系が得意な私は医学部志望でしたが、小学校の教師になるために文系に転向して初等教育学科に進学。なぜか新聞社の内定をもらいましたが、選んだ道は塾講師。それから早30年。人生、何があるか分かりません。だから、若いうちは幅広く勉強することが大切だと思います。いろいろなことを吸収して、自分を磨きましょう。