今日は「相」という漢字についてのお話です。

 

木へんに目で「ソウ」と読みますが、私には謎の漢字でした。

 

というのも、この字は他の木へんの字と同じように形声文字だと思うのですが、木は「モク・ボク」、目は「モク」ですから、どちらの音でもない。いったいどういうわけなのだろうと思っていました。

 

高校生になってからだったでしょうか、図書館にあった大きな漢和辞典で調べてみると、欄外に囲み記事でまとめてあり、それを読んで納得したとたんに、長年心にひっかかっていたわだかまりのようなものが消えてすっきりとしたことを覚えています。

 

そのむかし、「相」のもとの字があって、その字は左半分が「木」ではなくて「桑」で「桑目」のように書き、「ソウ(桑の音)」と読んだそうです。その字の「桑」が「木」にかわり「木目」と書くようになりましたが、発音はもとのまま変わらなかったので、今でも「ソウ」と読むのだとありました。

 

ですから、実はこの漢字は木へんではなくて、「目・目へん」のグループに入ること、また部首ではない「桑」の部分がこの漢字の発音を表すので「ソウ」と読むのだということを知りました。

 

さらに調べると、木と目が逆になった字(目へんに木)の「目木」のような同字もありました。ということは、「目桑」という字もあったのではないかと思います。

 

このような経緯で「相」を「ソウ」と読むようになったということです。

 

「相」の文字の起源は「目桑」だったのですね。

 

みなさま、ご納得いただけたでしょうか。

 

 

 

この記事を書いた人

アバター画像
緒方克彦
担当科目:英語・国語
担当校:伊勢原校・成瀬校

理系が得意な私は医学部志望でしたが、小学校の教師になるために文系に転向して初等教育学科に進学。なぜか新聞社の内定をもらいましたが、選んだ道は塾講師。それから早30年。人生、何があるか分かりません。だから、若いうちは幅広く勉強することが大切だと思います。いろいろなことを吸収して、自分を磨きましょう。