よく国語の評論(説明文)に出てくる「逆説的に言うと…」という表現です。これは「普通とは逆の方向から考えを進めていくと…」とか、「通常とは逆の言い回しで物事を説明すると…」という意味の言い回しです。これは中学生がよく目にするような高校入試問題にもよく出てきます。たとえば、こんな感じです。

 

多田道太郎

現代文明においては聞くことよりもだんだん話すことのほうに比重がかかってきた。みんなが発言方にまわりたがるのである。そういう中で自分なりの表現を持つためには、ほんとうは聞き上手になるということが、逆説的だが話し上手になるための近道である。

 

寺田寅彦

「科学者になるには『あたま』がよくなくてはいけない。」これはふつう世人の口にするひとつの考えである。これはある意味では本当だと思われる。しかし、一方でまた、「科学者は『あたま』が悪くなくてはいけない。」という考えも、ある意味ではやはり本当である。そうしてこの後の方の考えは、それを指摘し解説する人が比較的に少数である。

 

つまり、ふつうの人とは違う方向からのアプローチをする場合が「逆説」なのですね。

 

★接続詞のはたらきの「逆接」とは違います。

 

 

 

この記事を書いた人

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緒方克彦
担当科目:英語・国語
担当校:伊勢原校・成瀬校

理系が得意な私は医学部志望でしたが、小学校の教師になるために文系に転向して初等教育学科に進学。なぜか新聞社の内定をもらいましたが、選んだ道は塾講師。それから早30年。人生、何があるか分かりません。だから、若いうちは幅広く勉強することが大切だと思います。いろいろなことを吸収して、自分を磨きましょう。