国語科の緒方です。今日は「農作物」の読み方についての話です。

 

「作物」という言葉は、「サクモツ」と読みます。

●園芸作物(エンゲイサクモツ)

●救荒作物(キュウコウサクモツ)

●作物限界(サクモツゲンカイ)

などの語があります。

 

しかし「農作物」の読み方は、(ノウサクブツ)が正しく、(ノウサクモツ)は誤りだと文化庁が発表しています。

 

■文化庁が出している出版物「『ことば』シリーズ33ことばに関する問答集16」平成元年4月発表

 

*「『ノウサクブツ』と読むのが一般的であって、『ノウサクモツ』と読むのは、誤りであるとは言えないにしても普通は用いない」

*「『さくもつ』と言い『作物』と書く語に引かれて、『作物』に『農』を冠した(作物と)同じ意味の語『農作物』を読み誤ったところから生じた語であって、本来はノウサクブツというべきであろう。同じ語構成の『工作物』『著作物』なども、『~サクモツ』ではなく、『~サクブツ』である。」

 

つまり、切れ目の違いで区別するということです。

 

園芸作物は、園芸+作物なので(エンゲイ+サクモツ)

救荒作物は、救荒+作物なので(キュウコウ+サクモツ)

 

工作物は、工作+物なので(コウサク+ブツ)

著作物は、著作+物なので(チョサク+ブツ)

 

この仕方で区別すると

農作物は、農作をして出来た物ですから、農作+物なので(ノウサク+ブツ)となります。

 

ちなみにNHKでは、もう完全に(ノウサクブツ)で統一しています。

文化庁の見解に放送局が合わせているようです。

 

しかし、農業による作物(農+作物)と考えて、農作物を(ノウ+サクモツ)と読む人も少なくありませんでした。

 

文化庁の見解では(ノウサクモツ)は誤用という事になりますが、言葉は実際に使用される事によって変化してゆく生き物のようなものですので、使う人が多い以上、その慣用的な読み方を無視するわけにはゆきません。現在多くの辞書では、項目の読み方は(ノウサクブツ)とし、説明文に(ノウサクモツ)とも読む事を併記しています。

 

今後、(ノウサクモツ)という読み方が消えるのか残るのかは、現時点ではわからないのですね。

この記事を書いた人

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緒方克彦
担当科目:英語・国語
担当校:伊勢原校・成瀬校

理系が得意な私は医学部志望でしたが、小学校の教師になるために文系に転向して初等教育学科に進学。なぜか新聞社の内定をもらいましたが、選んだ道は塾講師。それから早30年。人生、何があるか分かりません。だから、若いうちは幅広く勉強することが大切だと思います。いろいろなことを吸収して、自分を磨きましょう。